リースとは何か? Part1
リースとは何か?
そう聞かれて明確に答えられる人は多くないのではないでしょうか?
実際、私も某メガバンク系のリース会社に所属していますので、銀行員相手にリースの勉強会を実施することがありますが、
「リースとレンタルって何が違うんですか?」
「車とか、プリンターとか、貸してほしいモノがあったらリース会社に相談すればいいんですよね?」
という質問をよく受けます。
二つ目の質問は大間違いとは言えないのですが、リース会社の役割とは少し違います。
今回はリースとは何か?
という基礎的な部分を解説したいと思います。
目次
リースとはどんな取引か?
リースを一言で表すと「ユーザーが購入しようとする設備を、リース会社が代わりに購入し、ユーザーへ有償で賃貸する取引」です!
根本的な説明はこの一言で足ります。
でもこれだけだと、従来からある「レンタカー」や「レンタルビデオ」との違いがはっきりしないですよね?
また、「車」や「スマホ端末」などでよくある割賦販売との違いもよくわかりません…
リース・レンタル・割賦販売の違い
「リースとレンタルの違い」を自信をもって説明できる人は少ないのではないかと思います。
それもそのはず…
「レンタル」というのは、会計・税務上の扱いはリースの一種だからです!!!
とはいえ、これはあくまで会計・税務上の違いであり、大まかにはしたの表のように整理できます。
ついでに割賦販売も比較に加えてみます。
ポイントをざっとお話すると
・リースはユーザーが長期で使いたい物件を自ら選んできて、リース会社に代わりに買ってもらい、中長期(3~10年程度)の期間使用する取引。
・レンタルは、レンタル会社の持つラインナップから、使いたい物件を選び、短期間(1日~数か月)使用する取引。
・割賦販売は、ユーザーが使いたい物件を自ら選び、リース会社に代わりに買ってもらい、分割で購入する取引。
以上の整理になります。
もちろん例外はあります。
「カーリース」などは、カーディーラーが持つラインナップから、使いたい物件を選び、中長期の期間使用する取引です。
さらに契約終了後に無償で車がもらえるという契約も存在しますから、上記の表はあくまで基本的な考え方とご理解ください。
リースのメリット
リースとはどのような取引なのかは、ある程度イメージが湧いたところかと思いますが、ではなぜリースは選ばれているのでしょうか?
実際、日本の企業の約90%がリースを利用しているといわれています!
リースのメリットを整理してみましょう。
【一度に多額の資金を必要としない】
実際のところ、これが一番の理由ではないでしょうか?
例えば1億円の工場設備を導入しようとした場合、購入の場合には一気に1億円を支払う必要がありますが、リースの場合は月々数百万円くらいの支払いに抑えられるでしょう。
【常に最新の設備を使用できる】
IT関連機器やOA機器、研究開発機器のように、技術の進歩が速い設備を購入すると、期間の経過とともに陳腐化が進んでしまいます。
しかし、使用期間に合わせてリース期間を設定することで、常に最新の設備を使用することが可能となります。
※例えば、お菓子の製造メーカーが、工場機械を購入した場合、法定耐用年数は10年であるため、10年間かけて減価償却をする必要があります。しかし、7年目を迎えたところで「性能の良い新しい機械に変えたいな」と思ったとしても、3年分の減価償却が終わっていないため、入替える場合には、未償却簿価で相当を特別損失として計上する必要が生じます。当初から7年リースで設備導入していれば、その心配は生じません(減価償却については、別の記事にて開設します)
【リース料を全額損金計上できる】
設備を購入した場合には減価償却分のみが損金となり、全額を経費扱いにはできません。しかし、リース契約で設備を導入すれば、毎月のリース料全額を経費扱いにできるため、節税効果を得られる可能性があります。
また、月額料金が一定のため、ランニングコストを把握しやすいといったメリットもあります。
【物件管理のアウトソース】
リース物件の所有者はリース会社ですから、設備所有にかかる税金である「固定資産税」はリース会社から各市町村へ支払うこととなります。
また、リース物件が火事・水害・盗難・落下などの事故に遭ったときのために付保する動産保険は、原則リース会社が支払うこととなります。
本来はユーザーが支払うべき固定資産税や保険料を、リース会社が代わりに払ってくれますので、事務負担をアウトソースすることができます。
なお、保険料はリース料に含まれますが、リース会社の保険料率は、ユーザー自身が掛けるよりも割安であるため、コスト面でもお得といわれています。
リースのデメリット
企業の90%が利用するリースですが、もちろんメリットだけではありません。
【リース料を完済してもユーザーのものにならない】
これは「持ち家か?賃貸か?」問題と同じことですが、リースは基本的に物件を借りる契約ですから、リース料を払いきってもユーザーのものにはなりません。これを理由に頑なにリースを使わないという会社も存在します。
確かに、なんだか損したような気になりますよね?
でも…パソコンやプリンターのように、5年程度使用したら、新しいものに入替える物件が、将来ユーザーのものになったとしたら、それは本当にお得なのでしょうか?
5年も使用して陳腐化したパソコンを喜んで買ってくれる業者は少ないと思います。
むしろデータ消去や廃棄費用が掛かってしまうはずです。
であれば、リース満了後も使うのであれば、少々再リース(契約延長)して、本当に使わなくなったらリース会社へ返却したほうがお得ではないでしょうか?
もちろん、工場の大掛かりな設備であったり、大型トラックであったり、物流センターの倉庫設備であったり、10年、20年と長期間使用する設備もあるでしょう。
そのような設備については、将来の購入選択権(買取オプション)を設定するなどの方法をうまく活用すればよい話です。
【銀行借入と比べて割高である】
いうまでもなく、現在は超低金利時代。銀行借入の金利は本当に低いです。
リース会社は銀行借入や社債やCPの発行により資金調達して、そこに自社の利益を乗せているのですから、当然、銀行借入と比べると金利は高いです。
しかしながら、リースにはさまざまなメリットがありますから、各社はリースと銀行借入をうまく組み合わせて設備投資をしているというのが実態です。
【中途解約ができない】
リースは基本的には中途解約ができません。解約したい場合には、残りのリース料や手数料相当額を解約金として全額支払う必要があります。
これだけ見るとデメリットに感じてしまいますが、物件代金相当を全額負担しなくてはならないのは、リースの場合でも、自社で購入した場合でも結局同じです。
なので、デメリットといえばデメリットですが、あまり気にしなくて良い部分かと思います。
長くなりましたが、ひとまずリースとは何か?レンタルとどのように違うのか?
をザックリ理解していただけましたでしょうか?
続きは「リースとは何か?Part2」にて解説させていただきます。
リース会社の社員がブログを開設してみました
今年も残りわずかになりました。
新卒入社時に「平成生まれなの!?」と驚かれた私も、ついに30代に突入…。
何か新しいことを始めようと考えた結果、新卒入社以来、リース会社で経験してきたことをブログという形で発信してみることにしました。
「リース会社」および「リース業界」というのは、普通の方々にとってはあまり馴染みがなく、特に学生などは就職活動で初めて目にする業界かとおもいます。
しかし、リース業界というのは実は触れてみるととても面白い業界なんです!
しかししかし!調べようと思ってもなかなか情報が出てこない!
そんな業界でもあります。
「リースって聞いたことはあるけど自分には関係ないでしょ?」
と思っている社会人の皆さん
「リース会社って年収高いようだけど、何やってるのかよくわかんない。ブラックじゃないの?」
という就活生の皆さん
「リースってクリスマスに飾るやつでしょ? ニッチな業界だねぇ」
と少し前まで思っていたあなた!
私も現役のリース会社社員なので、(支障のない範囲で)リース業界の実態をお伝えしていきたい思います。
また、リース会社は不特定多数の業界を相手にしています。
リース会社と無縁の業界というのは存在しないと言っても過言ではありません!
それにこれからの時代、「サブスクリプション」「MaaS」などの新しいサービスの発展にリース会社が一役も二役も買う可能性があるのです!
このブログでは、リースについての知識に加えて
・ビジネス上の経験や知識
・社会人生活における便利な情報
・今後の将来を考えるにあたっての情報(資産形成、人生設計、健康、運動 等)
・趣味である読書に関する情報
・その他考えたこと
以上をつらつらと発信していきたいと思います。
三日坊主にならないよう、応援していただけると幸いです。
何卒よろしくお願いします。